たまにCMを見てたりしてちょっと気になっていた映画「劇場」をAmazonプライムで観たので感想など綴りたいと思います。
劇場とは
「火花」で芥川賞を受賞した又吉直樹の2作目となる同名小説を映画化したもの。前衛的な作風が理解されず劇団が開店休業状態の脚本家兼演出家の永田(山崎)と、女優になる夢を抱きながら服飾系の大学に通う沙希(松岡茉優)の恋愛模様を軸に、理想と現実の間で苦闘する表現者の葛藤を描いている。
https://eiga.com/news/20200625/4/
公開日
2020年7月17日
新型コロナウイルスの影響で3ヶ月公開が延期されていたようです。
そして同時にAmazonプライムで独占配信されています。
あらすじ
https://movie.jorudan.co.jp/cinema/38419/
中学からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田。しかし、前衛的な作風は上演ごとに酷評され、客足も伸びない。劇団員と永田の関係も悪く、永田は言いようのない孤独を感じていた。そんなある日、永田は街で、自分と同じスニーカーを履いている沙希を見かけ声をかける。突然の出来事に沙希は戸惑うが、様子がおかしい永田が放っておけなく一緒に喫茶店に入る。女優になる夢を抱き上京し、服飾の大学に通っている学生・沙希と永田の恋はこうして始まった。お金のない永田は沙希の部屋に転がり込み、ふたりは一緒に住み始める。沙希は自分の夢を重ねるように永田を応援し続け、永田は自分を理解してくれ支えてくれる沙希を大切に思いつつも、理想と現実との間を埋めるようにますます演劇に没頭していくが…。
ネタバレしつつ感想
監督は「GO」や「世界の中心で愛を叫ぶ」などと同じ行定勲監督です!
山崎賢人がイケメンなのにクズすぎる!!
まず、山崎賢人演じる「永田」と松岡茉優演じる「沙希」が出会うシーンから始まる本作。
山崎賢人(永田)は髪の毛ボッサボサだしヒゲ面。明らかに怪しい。
永田が食い入るように見てた店頭の絵を沙希も足を止めて見たことで目が合い、一目惚れ??でお茶に誘う。
演劇という共通の部分が分かり、だんだん惹かれて行っていつの間にか付き合っちゃうんだけど。
やっぱり顔がかっこいいからか???
とにかく永田が働かないし、才能あるって自分で思ってるからというか信じているからだらだらしてお金もなくて、でも全然努力もしてなくて一言で言うと
クズ!!
沙希の一人暮らしのアパートに転がり込んで、お金も払わないから一生懸命朝から夜まで沙希はバイトするのに、ゲームしたり、散歩したり。
他の人の演劇を観に行っても批判して、沙希のことは蔑ろにして、とにかく沙希に甘えてる。
なんで沙希は別れないの〜!!?
絶対不幸になる。
自分勝手すぎるもん。
沙希も甘やかしすぎだよ。
だからダメになるんだよ〜〜〜!
良い子すぎる沙希
松岡茉優演じる沙希は本当に良い子。
永田に理不尽に怒られても、「ごめんね、そんなつもりで言ったんじゃないの、言い方が悪かったね」とか「才能あるよ、応援してる」とか言っちゃうし、永田が酔っ払って深夜に急に家に来てベッドに潜り込んでも「嫌なことがあったの?よしよし、大丈夫」って言っちゃうような子。
基本的にはニコニコしているし、自己犠牲なタイプかな。
なんでこんな良い子に限ってこんなロクでもない男に惹かれちゃうんだろ。
現実でも、結構そういうの多いよね。
ダメ人間の嗅覚がいいのが、そうさせてしまうのか。
ダメ人間のパートナーはとても優しい子が多い。
周りがあんなやつやめときなよ〜もっと良い人いっぱいいるじゃんて言っても「本当はすごく良い人なんだよ」って言って別れないんだよね。
はぁ。ほんとに幸せなのかな?
「ここが一番安全な場所だよ」
アパートに戻ると、「ここが一番安全な場所だよ」って沙希が言う。
お互いの居場所は誰も邪魔がいない2人だけになれるアパート。
お互いを安心させる魔法のような言葉。
その言葉はなんだか切ないなと思った。2人だけの世界が安心できるんだよね。お互い、外にいる時は無理してるんだ。
なんとなく分かるから切ない気持ちになる。
でも沙希は結局、永田のダメさに飲み込まれちゃってメンタルやられちゃってアルコールに溺れる。
あんなにニコニコ笑ってたのに、笑うことも減って、共依存みたいな感じになる。
ダメな方に引っ張られちゃうよね。だってあんなに尽くしても、尽くしても、永田はダメなんだもん。
沙希もそうだったけど、20代後半になると周りも結婚し始めて女にとってはこのままでいいのかなとか考えちゃう時だよね。
いい未来がくると思って信じて付き合ってる相手が全然自分とも現実とも向き合ってくれなくて、それでも好きだったら病んじゃうよ〜。目の前からいなくなってくれたら忘れられるけど、時々かまってくるし。
永田はほんとにダメだ。
でも泣いちゃうラスト
メンタルがダメになった沙希は田舎に帰ることにする。
永田に手伝ってもらいながら荷物をまとめているときに、2人で思い出の台本を読む。
永田も自分のせいで沙希がどんどんダメになっていってるのに気づいていたし、自分に才能がないのも分かっていた。
自分が不器用でプライドが高いから沙希を傷つけているのも分かっていたけど、認められなかった。
沙希も、永田もお互いがどれだけ好き同士でもお互いが一緒にいても幸せになれないと気づいた。
どっちが悪いといえば、永田かなって思うけど、沙希がラストの方に言うように「永田くんは悪くない、最初から何も変わっていない、変わったのは私」と言うセリフを聞いて
と思った。
台本を読みながら、永田が素直にこういう未来を作りたかったという話をする。
一緒にご飯を食べたり温泉に行ったり、犬を飼いたいとか、とても普通の夢で沙希もきっとそういう未来を望んでいたんだろうけど、もうどうしようもないし、もうそんな未来に向かって進める2人じゃないと分かってるから切なくて泣いてしまった。
永田も沙希も泣いていたが、私も泣いた。
ほんと永田のバカって感じだよ。
弱い!!付き合ってるうちに全部気持ちを素直に言って大事にしてやってよ!傷つけすぎだわ。
全部言わなくても察して欲しいなんて無理だし、沙希も相当気を使って頑張ったと思う。
もう。
しょうがないんだけどね。
若い時のどうしようもない葛藤
結局、自分だけは違うと思いたいんだよね。
薄々感じていても、自分を信じたい。でも努力をするわけでもない。
甘えさせてくれる人にはとことん甘える。
この映画は、観る人によって賛否両論ありそうだなと思う。事件も起こらないし、普通の日常にありそうな話だから。この2人に共感できる人も限りがあると思う。
私はこのクズな主人公がどこか自分のことのような、どうしようもない気持ちになった。
弱い、どうしようもない、理想を現実にできない、自分に甘い。
心当たりがある人は共感できたりグサッとくるかもしれない。Amazonプライムで配信中なので是非どうぞ。